こんにちは。サクナの松成です。
ここ最近ゼンゼン読まなくなっていた日刊ゲンダイ。
久しぶりに興味ある記事がでた~(^^)
老化や病気とは切っては切り離せない『ミトコンドリア』。
若返りには、ミトコンドリアの量と質が欠かせませぬ。
メモとしても、記事転載します。
⇒研究者に聞いた ミトコンドリアで日本マラソンは速くなる?
日刊ゲンダイDIGITAL 11/19(土)
今年もマラソンの季節到来だが、国内におけるマラソンは不思議なもので、以前より記録が落ちている。低酸素トレーニングやサプリメントなども多数開発され、昔より記録が伸びてもいい環境にありながら、男子(02年高岡寿成=2時間6分16秒)も女子(05年野口みずき=2時間19分12秒)も日本記録は今も破られていない。そんな国内の一部指導者が数年前から目をつけているのが「ミトコンドリア」だ。高校の生物の教科書などで名前や写真を見た記憶があるかもしれないが、「ミトコンドリア」がマラソンランナーの能力に深く関わっていることは、一般の人にあまり知られていない。そこで、順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科の鈴木良雄先任准教授にミトコンドリアについて話を聞いた。
■酸素摂取量がアップ
――そもそもミトコンドリアとはどういうものですか。
「生物の細胞に含まれるエネルギーをつくる器官です。我々は酸素を吸って、吐いている。ミトコンドリアは、酸素を使ってATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーのもとをつくっているのです」
――ということは、ミトコンドリアが増えればエネルギーも増産されると。
「そうです。持久能力の指標として最大酸素摂取量というものがあります。これは体重1キロ当たり、1分間に最大でどれだけの酸素を吸えるかということを表している。言い換えれば、どれだけ酸素を吸ってエネルギーにできるかということなのです。その時、吸った酸素を処理しているのがミトコンドリアです。ミトコンドリアが増えれば、最大酸素摂取量が上がるので持久力が向上します」
――だからマラソン選手に効果があるわけですね。ならば、ミトコンドリアはどのように増やせるのですか。
「ミトコンドリアはエネルギーを作る器官ですから、細胞がエネルギー切れになってきたら増やそうという性質がある。そのために、意図的に筋肉に飢餓状態をつくるのです」
■「トラック選手が持久力をつければ」
――筋肉が「腹ペコ」になると勝手に増えると?
「増やし方は指導者の経験や知識によっても違ってくると思います。例えば、早朝に食事をしないで走り続ける。グリコーゲン(肝臓・筋肉などに含まれるエネルギー源)もない状態にしてミトコンドリアを増やしている者もいる。また、短期間に高強度の運動をすることも効果がある。例えば、30秒間全力で走り、休息してまた30秒間全力で走る。このようなインターバル走を数本繰り返せば、数週間でミトコンドリアは増えますから最大酸素摂取量はアップします。インターバルトレーニングのタバタプロトコル(*)を採用している陸上部もあります」
――でも、そんな運動をすれば乳酸が生じますね。乳酸はエネルギー源ともいわれますが、過剰な蓄積は筋肉を酸性化させ、運動機能の低下や筋肉疲労を招きますよね。
「乳酸が出てくるような高強度の運動がいいのです。乳酸が出てくるのは、ミトコンドリアが処理しきれないからです。そうなると細胞はミトコンドリアを増やそうとするのです」
――それはなぜですか。
「ミトコンドリアは細胞の器官なので運動中には増えませんが、能力不足の厳しい目にあった後の運動をしていない時に、将来の同様な事態に備えて増えるのです。ミトコンドリアが増えれば、以前よりたくさんのエネルギーが作られます」
――すでにこのようなトレーニングを取り入れている選手がいるのに、マラソンの記録が伸びないのですから、日本選手が五輪でメダルを取るのは無理ですね。
「練習法は知っていても、ミトコンドリアが増えるという理屈は後から知った人が多いのではないでしょうか。インターバルトレーニングはまさにそうでしょう。全力で走ってペースダウンして、また全力で走る。その繰り返しですから。私は陸上の指導者ではないので、マラソンの記録のことはわかりません。マラソン強化のひとつのヒントになるとすれば、スピードランナーにマラソンを走らせることではないでしょうか」
――と言いますと。
「白筋の多い人は瞬発性の運動に、赤筋の多い人はマラソンなどの持久性運動に適しているといわれています。白筋を増やすことは至難の業ですが、ミトコンドリアは増やせる。かつての千葉真子さん(03年世界陸上銅)やリオ五輪の代表になった福士加代子さん(13年同大会銅)もそう。日本記録保持者の高岡成寿さんも元はトラックの選手です。トラックで好記録を出したスピードのある選手がミトコンドリアを増やして持久力をつければ、マラソンでも好記録が期待できるはずです」
そういえば、リオ五輪の5000メートルと1万メートルの代表になった大迫傑は、元マラソン選手のサラザールが指導するナイキ・オレゴン・プロジェクト(米国)に所属。リオの1万で5位、マラソン3位のゲーレン・ラップもこのチームで汗を流している。不甲斐ない実業団選手より、「東京五輪はマラソンで出る」と宣言している大迫は面白いかもしれない。
(*)立命館大学の田畑泉教授が開発したトレーニング。高強度の運動20秒と休息10秒を1セットとして合計8セット(計4分間)行うインターバルトレーニングの一種。